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【傍聴記録】NGUYEN VAN HUNG(グエン・バン・ハン)

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「やせたいな」「すぐにやせられる薬があるよ」。この会話が、その後あんなにも大変なことになろうとは、そのときはまったく予想もしていませんでした。私は当時、人と接する仕事をしていましたが、お世辞にもスタイルがよいと言える体型ではありませんでした。そのため、私はダイエットに関するいろいろな本を読んだり、人からダイエットに効果があると言われたことはほとんど試してみました。しかし、どれも効果はなく、また、長続きもしないため、逆にリバウンドして前よりも太ってしまったこともありました。そんな折、思わず自分の気持ちを話した職場の同僚が、覚醒剤を使っている人だったのです。「すぐにやせられる薬があるよ」・・・・・
この一言が私の理性を狂わせてしまい、「えっ、本当、どこにあるの」と思わずわらをもつかむ思いで尋ねてみると、「私、持ってるよ、ちょっと高いけど」と言われたのです。私は、それまでダイエットに関するいろいろなことにお金をかけてきていたので、高いことなど気にせず、また、そのやせる薬というのが覚醒剤であるということなども全く考えもせずに、その薬を同僚に頼んでしまったのです。しかし、その薬を受け取るときになって、同僚からその薬が覚醒剤であることを聞かされました。私は、覚醒剤が法律に違反してまた、体にも害を及ぼすものであることは分かっていたつもりでしたが、そのときは「やせたい」との思いが強く、「警察に見つからなければ大丈夫」と安易な気持ちで受け取り、使い方も教えてもらいました。初めて覚醒剤を使ったときは、体の血がスーっと引いて、体が軽くなり、頭が冴えていくような錯覚に陥ったのです。そして、覚醒剤を始めて3日くらいでやせることはできましたが、一方で、体がだるくなると覚醒剤を使わずにはいられない体にもなっていました。覚醒剤が切れかかると、自分ではどうしようもなく苛立ち、母や妹に八つ当たりをし、時には警察官に見られているような幻覚まで見えるようになっていました。こんな自分に嫌気がさしてきたものの、自分ではどうすることもできず、覚醒剤を使い続けていたところ、警察に逮捕されてしまったのです。逮捕後に留置場に面会に来てくれたやつれた母の顔を今でも忘れることができません。母が帰った後、「私はなんて馬鹿なことをしてしまったのだろう」と一人泣き崩れました。私は、やせたいとの思いから「警察に見つからなければ大丈夫」などと安易に考え、覚醒剤に手を出してしまったわけですが、「もし今でも警察に逮捕されていなかったら、どうなっていたのだろう」と考えるとゾッとする思いです。こんな私からの願いは、一日も早く、この世から覚醒剤や他の乱用者がいなくなることです。


【傍聴記録】
法廷:京都地方裁判所 刑事 第206号法廷(2階)
公判日時:平成27年4月27日(月)午後2時10分~午後2時20分
事件番号:平成27年(ろ)第10号
罪名:覚醒剤取締法違反
審理状況:審理
担当部係:刑事2係
裁判長及び裁判官:辻 秀樹
書記官:キムラ ヒロノブ
通訳:60代男性
検察官:50代男性
弁護人:40代男性
刑務官:男性2名

【公訴事実】
被告人は、平成27年1月頃、自宅において、覚醒剤であるフェニルメチルアミノプロパン塩酸塩を含有する結晶若干量を所持していた。
罪名及び罰条 覚醒剤取締法違反

【被告人の身上経歴等】
氏名:NGUYEN VAN HUNG(グエン・バン・ハン)
性別:男
生年月日:
本籍:ブラジル
住所:
職業:
特徴:
犯歴:

論告求刑:
最終弁論:
判決:主文 被告人を懲役1年6月に処する。
        この裁判が確定した日から3年間その刑の執行を猶予する。
控訴期限:
控訴or終結:調査中

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